この箱は君のもの
子供の頃から母に色々な習い事へ連れて行ってもらいました。ピアノ、水泳、絵画、お習字、そろばん。けれどどれひとつとして続かず、身につかないままやめてしまいました。そんな私が初めて夢中になったのが演劇。習いに行ったのではなく、自分で始めて、続けました。それは得意だったからでも、うまくなったからでもありません。ただ理由もわからず、好きになったからでした。ではほかの習い事に意味はなかったのかといえば、それも違います。色々なことをしてみて、自分の好きなものを探すきっかけを作ってもらったのだと思います。
私たちは、プラットという劇場があなたにとって「好きになるきっかけ」を見つける場所になればと思っています。もちろん得意なものを見つけても良いですが、へたっぴでもいいんです。演劇や音楽やダンスは、じょうずにできる人だけのものじゃない。みんなのものです。やってもいいし、見るだけでもいい。そして、ここでもし好きなこと、夢中になれるなにかを見つけたら、それはあなただけのもの。
プラットという箱に、そんな出逢いをたくさん詰めて、いつでもあなたを待ってます。
芸術監督 桑原裕子
東京都出身。劇作家・演出家・俳優。KAKUTA主宰。
2018年4月芸術文化アドバイザー就任。2023年4月芸術監督に名称変更。ワークショップや「文化祭Art Platter」「市民と創造する演劇」などを手がける。俳優業のほかに、テレビ、ラジオ、映画の脚本、舞台への作・演出など、多方面で活動。
2019年に劇団作品『ひとよ』が白石和彌監督で映画化。映像脚本に昭和歌謡ミュージカル「また逢う日まで」など。その他近年の主な舞台に『徒花に水やり』(出演)『シブヤデアイマショウ』(出演)『ロビー・ヒーロー』(演出)『サンセットメン』(作演出)『閃光ばなし』(出演)など。
2009年KAKUTA『甘い丘』第64回文化庁芸術祭・芸術祭新人賞(脚本・演出)受賞。2016年KAKUTA『痕跡』第18回鶴屋南北戯曲賞受賞。2018年穂の国とよはし芸術劇場PLATプロデュース『荒れ野』第5回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞受賞、読売文学賞戯曲シナリオ部門受賞。
豊橋市出身、俳優
2011年4月~2018年3月 芸術文化アドバイザー
2018年4月~2024年3月 アソシエイト・アーティスト