2023年度の「市民と創造する演劇」は、てがみ座主宰・劇作家・脚本家として活躍する長田育恵の『地を渡る舟-1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-』(2013年初演・2015年再演)を上演します。てがみ座本公演でも演出を務めた扇田拓也を迎え、棚川寛子の音楽とともにお贈りします。
『地を渡る舟-1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-』
昭和20年春、来るべき本土決戦が聞こえる中、 敗戦の日を予期し、各地の農家を訪ね歩いているひとりの男がいた。その日まであと4ヶ月―――。「その日」を迎えたとき、ただちに日本を立て直すために。
<あらすじ>
瀬戸内海の小さな島で生まれた宮本常一。旅する民俗学者と呼ばれた彼は、日本列島を隅々まで歩きぬき、人々の営みをありのままに見つめ、受け継がれてきた言葉に耳を澄ませた。そんな彼の活動を支援したのは、戦時下において日銀総裁を務めた渋沢敬三だった。敬三は私財を投じて自宅の敷地内に「アチック・ミューゼアム(屋根裏の博物館)」を作り、常一をはじめ、若き民俗学者たちと共に、この国を書き留めようと尽力したが、戦時下に堕ちていく中で、アチック・ミューゼアムに集う若き民俗学者たちは戦争の大波に翻弄され飲み込まれていく。