あなたは、日本一早く「農地解放」した町を知っていますか?
「神野新田物語」(3部作)は、明治20年ごろ、豊橋の西の海に1,100haの農地をつくった神野金之助とその新田の経営にあたった神野三郎の物語です。物語は、第2話から、三郎・妻りきと開拓農民らが織りなす人生模様を描きます。三郎とりきは、明治末からガス会社の経営にも乗り出しましたが、開拓当初から苦楽を共にした新田の人々を生涯愛し続けました。
第3話「戦争を生きぬいて」は、金之助が名古屋で経営した明治銀行の破綻によって新田すべてが債権者の手に渡ってしまうという困難な時代を描きます。不況や社会不安から、やがて日本は戦争へと突き進みます。そして、終戦。三郎は、後に豊橋市長となる河合陸郎の力を得て、念願であった農地解放を日本で一番早く実現します。
一方、三郎とりきの長男神野太郎は、焼け野原となった豊橋の町に独り立って、新しい豊かな文化の町づくりを決意します。