演劇演出、映画監督、テレビドラマ演出、脚本、小説執筆と多岐に渡る活動で才能を発揮するクリエイターの山田佳奈が主宰する「□字ック」の本公演。□字ックとしては、2021年2月に本多劇場で上演した『タイトル、拒絶』以来、2年8ヶ月ぶりの公演です。
▼物語
とある片田舎の集落、死後の動物の皮を剥ぎ、内臓を取り除き、防腐処理をして生きていた姿に復元する剥製師の工房が舞台。正義の在り方が多面的であり、他者の正義を糾弾するという現在の社会に垣間見える問題を反映し、愛情のゆがみ、欲望、人が過ちを犯していくまでを丁寧に描く。
主演の【出戻りの長女】には近年、フジテレビドラマ『あなたがしてくれなくても』、テレビ朝日ド ラマ『六本木クラス』、Netflix『今際の国のアリスSeason2』、映画『愛なのに』、『彼女』など話題作に立て続けに出演し、その中でも一際存在感を放ち続ける、さとうほなみが務めます。
また、舞台出演では『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、『カノン』での好演が話題となりま した。
その他、今作には
【寡黙な次女】に瀬戸さおり
【工房に転がり込む男】に山中聡
【軽度知的障害を持つ甥】に岩男海史
【近所の独居女性】に柿丸美智恵
【剥製師の父】に吉見一豊
と実力派の俳優たちが集い、不遇な環境に身を置く登場人物を演じます。
主演のさとうほなみをはじめ、出演者全員が今回、□字ック作品に初めての参加となります。
コメント
▼脚本・演出 山田佳奈
劇団での新作公演として、何を上演すべきか。時代が新しく移り変わっていく中で、作家としての意識や生活の優先順位も変わりつつある現在、ずっとあたためていた題材である「剥製師」の物語を描こうと思いました。
生きていく上で何を指針としたら良いのだろうと、変化している部分と譲れないもの。それは死後の動物の皮を剝ぎ、生命を吹き込み直す職業が置かれている状況とも少なからず遠くない気がしていて、どういう手癖で物語に息を吹き込むか明確に定まってないところもありますが、わたしなりに考えて挑んでみたいと思います。また、さとうほなみさんをはじめ、魅力的な俳優陣に集っていただくことができました。月並みな言葉になってしまいますが、どのような化学反応が起きるのか。楽しみでなりません。
▼主演 さとうほなみ
今作のプロットを読ませていただいた時、これは自分がいま向き合うべき作品で「出逢ってしまった」と感じました。登場人物は皆、どこか全員加害者であり被害者でもある。黒いものを抱えていて、消化できずにいる、でもそれがこの作品での日常生活。
わたしは『タイトル、拒絶』がすごく好きで、お人柄も素敵な山田佳奈さんとご一緒出来るのが心から嬉しいです。そして面白い役者さんが揃い踏みで、これはきっと役者としてギリギリな精神状態になるんだろうな(笑)そしてギリギリであればあるほど今作は映えるんだろうなーなどと思いつつ...。
わたし自身すごく楽しみにしております。
プロフィール
山田佳奈(やまだかな)
神奈川県出身。脚本・舞台演出・映画監督・俳優。元レコード会社のプロモーターを経て、2010年3月□字ックを旗揚げ。以降全ての脚本・演出を手掛けている。2016年『夜、逃げる』で映画演出にも挑戦し、2020年自身初の長編デビュー『タイトル、拒絶』が東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に選出、更に東京ジェムストーン賞を受賞。
Netflix オリジナルドラマ『全裸監督』脚本など外部作品への書き下ろしも積極的に行ってお り、初小説『されど家族、あらがえど家族、だから家族は』を双葉社より出版。近年は新国立劇場「未来につなぐもの」シリーズ 6月公演『楽園』にて脚本執筆(演出:眞鍋卓嗣)。また、初の漫画原作『都合のいい果て』がモーニングツー(講談社)にて連載中。
さとうほなみ
東京都出身。17年よりさとうほなみとして女優活動をスタート。近年の主な出演作品に、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』(20 年/行定勲)、Netflix『彼女』(21年/廣木隆一)、『恋い焦れ歌え』(22年/熊坂出)、『愛なのに』(22年/城定秀夫)、『銀平町シネマブルース』(23年/城定秀夫)ABEMA『30までにとうるさくて』主演(22年)、テレビ朝日『六本木クラス』(22年)、Netflix『今際の国のアリスSeason2』(22年)、フジテレビジョン『あなたがしてくれなくても』(23年)、舞台では「カノン」(21年)、ブロードウェイミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(22年)などがある。「ゲスの極み乙女」のドラマー、ほな・いこかとしても活動。