あらすじ
ある激しい雨の日、僕はその日の就職活動を途中で投げ出し、疲れ果てた脳みそを抱え大型書店に逃げ込んだ。本を購入すると殆ど無意識に喫茶店に入っていた。そこがコメダなら何も語るべきことはない。僕はただ珈琲が飲みたかったのだ。でもそこは不思議な純喫茶。外は雨。
店を出る時、エントランスに大きな水たまりが出来てしまったため、僕は別の扉に誘導された。その扉には「スタッフ・オンリー」の文字が・・・。
僕はその時、白昼夢の中にいた。
「ねえ、そろそろ次のステップに駒を進めたいんだ」と僕の脳は言った。
「あなたの言うことは至極まともだ。でもね、僕には絶望感しかない、レンガを積み続けるなんてね」と僕は答える。
「ねえ、もう一人の僕、君はまるで小説の主人公のようだぜ」
「そうかい?」
「ああ、ブルース・スプリングスティンのハングリー・ハートでも流れてたら完璧だね」
「・・・」
「さて、そろそろ入ってもらうよ。扉を開けて」僕の脳は静かに言った。
僕はスタッフ・オンリーの扉を開けると、中に足を踏み入れた。その先にどんな世界が待っているかも知らずに・・・。